「がむしゃらだわ…」
横で見ている波瑠は、奈央が
いかに焦っているか分かっていた。
同時に動けない自分を責めていた。
寧々が奈央の首を絞める。
「う…っああぁッ」
その手を解こうと頑張る奈央だが、
寧々は解く様子を見せない。
20秒ほどたって手を離した。
その瞬間、奈央が殴ろうとすると
それを受け止め、1発殴った。
更にひざまずいた奈央をもう1発。
「……ッ」
激しい衝撃で倒れ込む奈央。
立ち上がる様子はない。
「何だ?もうおしまいか?」
寧々も奈央の前に座った。
疲れているからという理由ではなく
単に、奈央で遊ぶ為だった。
殴られた頬が痛む。
「…」
直さん……
涙がこぼれた。
寧々は驚いて目を開く。
奈央はある日のことを思い出した。
1年前。
ー昼休みになると、
いつもとは違う場所でご飯を
食べようとした奈央は裏庭へと行った。
途中で血の足跡があったので、
早歩き気味で向かう。
「…!」
そこには、ひとりの女性がたっていた。
まわりは血まみれで倒れている人達。
ざっと見て20人はいる。
しかしその女性は、
息すらかれていなかった。