ドガッ

誰かが蹴り、ユウは開放された。
その人物はユウと背中合わせに立つ。
「…薫!?」
「1人でこんな人数相手なんて無茶だ」

ちらっと利津の方を見ると
彼女は隅で休んでいた。
ーなめた野郎だ。ユウを助けたこと、
あとで後悔するだろう。
まあ良い。これも計算のうちだ。
ユウは笑って薫に言う。

「背中、任せた」
「私もだ」

ドゴッ

2対40の喧嘩が始まった。

ドサッ

寧々が思い切り地面にひれ伏せる。
奈央が拳を握りながら寧々を見下ろす。
その瞳は怒りを秘めている。

「はぁ、はぁ…」
奈央は寧々の胸倉を掴むと、1発殴った。
寧々も負けじと一発殴る。ふらつく奈央。
2人は全くの互角だった。

あたしがおされるのは互角になってから。
油断する訳にはいかない…。

「ぅおおおッ」
「ぅッ」
また1発殴られる寧々。今度は反撃せず、
その場で硬直した。そして血を拭きながら
微弱に微笑んだ。