奈央は力なく立ち上がった。
「…」
無言で波瑠を壁に寄りかからせると、
激しい怒りをあらわにした。
「4回目のチャレンジだな。
かかってこいよ、宮崎」
奈央が寧々を睨んだ。
「こいつら、まだ…っ」
薫達は、体勢を変えられず
ただどうすれば良いのか焦っていた。
利津も立ち上がることが出来ない。
「頭とやらを守ってろ、薫」
「!ユウ」
「大丈夫だから、下がれ」
「…信じるぜ」
利津を抱えて隅へと行く薫。
ユウはガムを吐き出した。
ユウは仲間意識など無かった。
単に薫と自分の考えが違うことに
苛立ち、喧嘩をする気分になったのだ。
中々上手くいかない。まあ、自分が
皆を裏切れば全ては丸くなる。
「ふふ…」
無邪気な笑顔を見せるユウ。
「うぉぉぉぉおっ」
襲い掛かってくる生徒達。
はらはらして見守る薫。
3人、4人。
次々と殴られ倒れていく。
手加減をする気など無かった。
ドガッ
激しい乱闘の中、腹を殴られ
動きをとめる。その瞬間、1人の
生徒がユウを腕で押さえ込んだ。
「はなせ!!」
力強くひじをぶつけるユウ。
痛そうにしても腕を解かない。