「何でこんなに弱いんだろうな、
あたしたち」
3年1組では繭と憂が話していた。
手負いの二人は、大人しそうに
座っている。

「知るか」
「幸せだったのかな。直先輩は」
「…あんな笑顔で死んだんや。きっと、
楽に逝けたやろ…」
「会いたいな…」
憂の発言で、場の空地が寂しくなった。
もう直に会えないと分かっていても、
何処かで会えるんじゃ無いのかと、まだ
心の片隅で期待している。
1年立っても、直の死が実感できずに
いるのだ。

「そんな弱気じゃ、この先
どんな敵にも負けますわ」
窓際にいた波留が二人に言う。

「お前にあたし等の何が分かるんだ?」
「私は新入りですわ。分かるわけないでしょう」
「なら口を叩くんじゃねぇ。いきなり上の位置に
ついたお前には、あたし達の苦労なんてわかんねぇ
だろうな」

それを聞くと、不快な顔をして
波留は後ろを振り返った。