「…あいつには、今まで迷惑を
かけてきた…私のせいで、呉羽に
駆け付けてくれた…」
利津の言葉を黙って聞く一同。
「危ないってわかってた…
でも、何とかなるだろう、平気
だろうって…逃げてた」
スッ
利津の背中を奈央が摩った。
憂も繭も微笑んでくれている。
「大丈夫ですよ。派留は目を覚まします。
まだ…、死ぬわけにはいかないでしょう」
「宮崎…」
「あなたが色々背負っていることも、
十分伝わってます。何も知らずにただ上を
任せていました…すいませんでした」
「あんなに酷い事言ったのに…
お前は私を…憎まないのか?」
「あたしより、先輩ですから」
ニコりと微笑む奈央。
利津は皆の顔を見たあと、
始めて笑顔になった。
「り…つ」
「!」
「派留!!」
派留は目をさましていた。
不思議そうに皆を見て、涙を
流した。
「やったーっ!!」
冷たかった空気に歓声があがる。
しかし派留は目を見開いたままだ。
「痛むか?」
奈央が聞くと、派留は首を横に振る。
「会ったんだ…直と」
「!!」
利津が反応する。
「全然変わってなかった…
直は永遠に、直のままだわ…
優しくて暖かい…」
涙がこぼれ落ちた。
利津は優しく派留の頭を撫でる。
「羨ましいですよ」
「本気にしてないでしょう?
本当に会ったんですよ」
「はははっ」
奈央と派留の会話を聞いて、
一同は安心していた。
「へえ…2番手がねぇ…」
病室の裏で、ナジカが意味深に
微笑んだ。悪巧みをしている顔だ。
そのまま指をくわえて携帯を出した。
「チャンスチャンス♪」
そのままその場を去った。