利津の方が耐えられなくなり、
最後の直の肉体との接触は終わった。
施設に帰ると絶望で胸がいっぱいだった。
友達が声をかけてくれても、
派留はただうつ向いているだけだった。
ーキーン…
「うっ…!!」
激しく心臓が痛む。
派留はその場に倒れ込んだ。
「派留!派留!?」
意識が遠のいていく…
目がさめたのは病院だった。
直に初めて出会った時と同じ位置。
過去の記憶を思い出して派留は泣く。
しばらくすると、隣の机の上に手紙が
置いてあるのが分かった。
それは直の字だった。
”派留へ。元気にしてるか?
互いに高校生になっちまってから、
忙しくて中々会えねぇなあ…。
今度遊ぼうぜ!あたしは呉羽で
てっぺんとって、毎日喧嘩ばっかだ。
でも、そういう生活も悪くないぜ。
たまには遊びに来いよ!その時には
代理の椅子をくれてやる(笑)”
「…入ってくれば良いのに」
「…」
利津が入ってきた。
派留は入口に利津がいることに
気付いていたようだ。
利津は呉羽の制服を着ていた。
ー同じ事を考えてるんだろうな。
派留はそう思って、利津に聞いた。
「直の代わりになるつもりでしょう?」
「…悪い。その手紙を見ればお前も考えて
くれると思ったんだ…体が弱いのは承知だ。
命に関わるのも…分かってる」
「特にシヨックを受けなきゃ、私の
体は大丈夫ですわ」
派留もまた決心していた。
私も、直の思いを継がなければ。