私しかいない廊下。




後ろから誰かが走ってくる音が聞こえる。




と、




私は急に後ろから伸びてきた腕に




包まれた。





「何で、逃げんの?」




私の頭に顎をのせて言うその声。





振り返らなくても分かるその声。





一ノ瀬 奏、だ