「えっと…、覚えてないかな?ほら、ずーっと前、朝登校してる時道の角でぶつかった人!!あれ、あたしなんだけど…。…覚えてないよねぇ…」
なんか、自分で言ってて悲しくなってきた。
はぁ…。あたし、何行っちゃってんだろ。
要君は少し考えるようにあごに人差し指と親指をあてて、しばらくだまってた。
…やっぱ、覚えてないよね?
いや、でももしかしたら…。
あたしの中で、期待と不安が入り混じってる。
あ~~。早く答えて、要君!!
すると、要君が急に笑顔になった。
「あぁ!!思い出した!!あの、雨が降ってた時だよな?」
確かめるようにあたしの顔をのぞきこんでくる要君。
―――ドキッ
そんな何気ない仕草でもドキドキしてしまう。
あれ?あたしって、こんなにも要君のこと好きだったっけ?
―――って、そうじゃなくて!!
もしかして、あたしのこと…
「…お、覚えてる…の?」
「う~ん、多分!!」