…ショックだった。
要君は今朝のことなんて、もう忘れてしまったの?
あたしのことなんて、これっぽっちも覚えていないの?
…そりゃそうだよね。
あたしからしたら、あなたはとても大きな存在だったのに
あなたからしたらあたしなんてタダの通行人。赤の他人と一緒。
ただ、ぶつかったというだけ。
顔なんて覚えてるわけない。
そう思った瞬間、のどの奥がギュってなって、鼻がツーンとして涙が出てきそうになった。
「やばっ。泣きそぅ…」
でも、こんなところで泣けるわけがない。
あたしは必死に唇を噛んでガマンした。
「…まぁ、どうしたの?」
いつのまにか、本を買い終わったなっつーが、あたしの変化に気付いて心配そうに聞いてきた。
「ごめん、なっつー…。今日はやっぱりアイスはパスしていいかなぁ…」
「え、あたしはいいけど…。まぁが食べたかったんじゃないの?」
…そう、あたしが食べたいって言ってたのに、やめるなんて言って…なっつー、怒ってるよね?