たしか、今朝ぶつかった男の子も「かなめ」だったような…。



きっと、人違いだよね…。



そう思い、おそるおそる顔をあげてみると…



間違いなく、今朝ぶつかった、あの男の子だった。



あたしに構わずおしゃべりを始める二人。




「ごめん。来る途中、また雨降ってきたからコンビニで傘買ってたら遅くなった」



「別にいいよ。でもあたし、結構待ったんだからね? おわびにこの雑誌買ってよぅ」



「はぁ? お前の分も傘買ってきてやったんだから、それでチャラだろ」



「えぇぇ? そ、そんなぁ…」




女の子がシュン…ってなると、要君がフッと笑った。



「冗談だよ。待たせて悪かったな。それ買ってやるから、レジ行くぞ」



「…ホント? やったぁ」




あたしの横を通り過ぎる間際に、要君と目があった。



ニコッとか、しゃべりかけてくれるとかしてくれると思ったのに…



要君はすぐにあたしから視線を外した。



まるであたしなんか見えてないとでもいう風に。

顔色ひとつかえずに。




雑誌を買った二人は、仲良く店を出て行った。