この別荘の部屋には鍵がそれぞれ存在した。


だがこの部屋はドアが開いた。


鍵がかかっていなかった。



結城は悪いなと思いながら部屋のドアをゆっくり開き、中を窺った。



部屋には誰もいなかった。


中まで足跡は続いている。




結城は目を見開いた。


驚きで声が出ないくらい衝撃的だった。



「ここって……」



確かこの部屋をどこかで見たことがある。


結城は自分が持っていた本を開いてみた。



それは表紙を捲った時に書かれている作者のプロフィールのところだ。