「あはは、そりゃそーだ」

軽やかに笑い声をあげ
野口は細い足にスカートを通した。

「また痩せた?」

ふと気になり口をついて出た言葉。

「…? ああ、いや。
体重変わってないよ。
そういやさ、
浅間がまた呼び出されたって」

何もないように言う野口に
少し安心した。

「ぶっ…浅間が?
馬鹿だねえあいつも」

思わず吹き出してしまう。

浅間も私も野口も、
同じ中学出身じゃないのに
この数ヶ月で
親友とも呼べるほど仲の良い
常に行動をともにする関係に
なってしまった。
あともう一人、
これは私の幼馴染なんだけど
橋野ってやつがいる。

「んーと、早く髪染めなおせって、
そんな感じだとさー」

さっさと着替えを済ませ
鞄に体操服を入れながら
野口が笑う。

「あれ」

「まだ残ってたんだ?」

がちゃりとドアが開いて、
体育委員の2人が顔を出した。

「あ、美香。と、さゆりじゃん」

野口が先に気付き、声をかける。

「疲れたなー。なんかみんなさ、
終わってないのに帰っちゃって」

美香は不満そうに言い
着替え始めた。

「楽しいじゃんね、プール掃除」

さゆりも脱ぎ始める。

「いや楽しくないから」

私が言うと、2人は顔を見合わせて
首をかしげた。

「じゃ、お先。お疲れ様」

「お疲れ~」

「ん、ホームルーム面倒だから
さぼるって言っといて~」

「はいはい」

さゆりの言葉に笑いながら
私たちは更衣室から出た。