蓮がキッチンを指差しながら、顔を青白くさせる。


「すき焼きのための準備として、油を引いてそのまま火をつけてしまったんだよ」


「え、普通じゃないの?」


油引いて火付けて‥‥何がいけなかったの?


「それがな‥‥火をつけたことを忘れてしまってな」


「え゛」


「爆竹のように‥‥‥油が俺を襲ってきたんだよぉぉぉぉおおおおお!」


あたしの頭の中で、鼻歌を歌ってすき焼きを作る蓮に油が襲いかかるのが容易に想像できた。


タマとミーに泣きつく蓮を見て少し、うんざりした。


はぁ、この人は‥‥。


「ほら、一緒に作ろ。蓮」


「凛‥‥変わったなぁお前」