「あ、そこ右だよ。」


あたしは誰か友達にでも話しかけるような口ぶりで、2匹に教えた。


それをちゃんと聞き取ってくれた2匹は、何の迷いもなさそうに角を右へ曲がった。


遠くからでも勢いよく視界に入ってくる、カラフルな鉄たち。


まだ・・・残ってたんだ。


幼かったあたしと、浩太が一緒に遊んだ場所。


『バウっ!』


心なしか、タマとミーの鳴き声が弾んで聞こえる。


楽しみたい、とでも言う様に。


あたしは、にっこり笑った。


何年振りだろうか、こんなにも穏やかな気持ちで笑うのは。


「そうだね、遊ぼうかっ。」