亜美の一言で浩太が立ち上がり椅子の音が響いた。


そのまま、あたしの後ろまで来て立ち止まった浩太。


何?・・・なに。


あたしは怖くなって、立ち上がろうとした。


その時、あたしを椅子に押さえつけるように浩太が抱きしめてきた。


シトラスの香りがあたしの鼻をかすめた。


肩に圧し掛かる浩太の頭。


背筋に嫌な汗が伝う。


前と同じ感触があの時の記憶を呼び起こす。


―――――ドクン・・・・っ


心臓の音が、なぜかやけに大きく聞こえた。