「私を愛してくれた。ただの子供であったというのに」


不思議な少女だった、と魔物は語ります。

あらゆる生き物に好かれる、天使のような少女だったと。

暴れることでしか満たされなかった心が、少女といるだけで不思議と落ち着いたと、魔物は子供のように笑いながら話します。


「しかし私はこのような生き物。
肉を食わねば、生きられぬ。
穏やかになど、とても」


言いながら、数々の肉を切り裂いてきたであろう牙をちらつかせます。

もっとも、今はまるで化石のような様相でありましたが。


「食事だけは見つからぬようにと気をつけていたのだが、うっかりな、見られてしまった。
その時の彼女の顔と言ったら」


「今のおじさんみたいな顔?」