「何故縛られてるの?」


しかし少年は、物怖じせずに魔物に尋ねます。


「いっぱい悪いことをしたからさ」


なんでもないことのように魔物は言います。

少年は更に尋ねます。


「でももうその鎖は、腐っているじゃない。
貴方なら壊せるでしょう?」


「違うな人の子。鎖とは縛りつけるものだ。
腐っていようがなんだろうが、鎖はそういう役目を持つものなんだ。
だから私は縛られてるんだよ」


「誰がそんなことをしたの?」


「女さ」


まるで夢見る乙女のような、そんなため息交じりの声でした。