その途端、このクラスの担任らしい先生が教室に入ってきた。

第一印象 ハゲ
よりによって何で一年になった時の担任がハゲ?
目を細めてじっくり見てみれば、キツく締められたベルトによってお腹は立派に主張されていた。

見事な体だなぁと思って見ていると、周りが「毛沢東」と連呼していた。
確かに似ているような気もする。
それに反応するかのようにその先生は言った生徒を軽く睨んだ。
その顔も面白い、なんて思ってしまうのは罪なのだろうか。

「えっと、自己紹介して行こうと思うんで一人ずつ前に立って言ってって下さい。」

その前に先生がいってよー!とみんなからのブーイング。
「…。」
やばい。このクラス面白いぞ!
渋々前に立つ先生にニヤける。
「先生は、菅義明(かん よしあき)といいます。教科は社会を担当しています。担当している、部活は野球部です。…」

まるで校長のように長々と話しているが、言う度言う度みんなが突っ込んでいるので、笑いが絶えない。

すると、誰かが毛沢東って知ってますかなんてメタな質問をした。

誰だか知らないけど、ナイスというか馬鹿というか。
それに先生は真面目な対応をしたが、みんなのニヤけは止まらない。
私の前の席の会長なんか、はしたないってくらいに強烈に爆笑している。
その顔がちらっと見えて一体どんな表情をしているのか確かめると、心から楽しそうに笑っていた。 その笑顔を見ると、何故か自分まで嬉しくなった。

笑いながら会長が一言。
「先生、自己紹介の時間ありませんよ!」

「本当やな、どうしようなぁ。んじゃ明日に回していいですか?」

やだ、という声がたくさん出て来る。 先生、なめられてますよ!

「仕方ないんです。配り物誰か手伝ってください」
席からたくさんの男子が慌ただしく立ち、先生のもとへ駆け寄る。

琴ちゃん何してんだろ。
後ろを振り返ると、男子と楽しそうにしゃべっている。

会長に惚れたんじゃないのか。
まぁいいや、 帰る時にもう一度確かめてみよう!
ってか隣でしゃべってる男の子、見たことある…。
もしかして、つばさくん?!

私はびっくりして琴ちゃんの元へ駆け寄った。

「こ、琴ちゃん!」