意識は呆然としたまま今回入学させて頂く、【御滝高校】の前へ。
入学当日の遅刻の上にファーストキスもとられた。今の私にはきっと何の価値もないであろう、おいたわしゃぁ…。
バイバイ、素敵で美しい学園生活。バイバイ、知的で聡明な我が親友、琴梨。 きっとクラスも離れるような気がする…
いい彼氏を作るんだよ、私みたいに変なヤツにキス奪われちゃダメよ。

まるで自分はもう死ぬかのように悟っていると、

「あ、篠原さんですか?」

「あ、そうですが」

「お入り下さい、もう入学式は始まりますよ。」

「あっすみません、失礼します。」

暴走するマイナス思考を変な形で止められてしまったので、妙にしけた。 とりあえずまぁ、さっきのエロ男がここにいないことを願う。


「…どうしました?早く中にお入り下さい。」

「す、すみません」

こんなにエリートっぽかったっけ?この高校。
しかもなんでエスコート? 謎が深まる。


どぎまぎしながら回りを見渡すと、琴ちゃんがいた。
私の視線に気付いた琴ちゃんは、嬉しそうな顔で私に告げた。
「クラス一緒だよ、みのりんー!!」

「ほ、ホント?!」

「もちろん!嘘付くわけないでしょ〜!」

「どれどれ…」
目が微妙に悪い私は、クラス名簿を近くでじっくり見届けると、自分の名前は<1−C>にあった。
んじゃ、琴ちゃんもある…ってコトだよね?
ちょっと下に目を向けると、<月岡琴梨>とあった。なんだ、近くじゃん!

「ほんとだね!!よかった、一年目が同じクラスで…って」
琴ちゃんは何故か上の空。
「聞いてる?」

「あっ、なになに?」

「ドコ見てたのよ。」

「あ、いや、えと…」

「言いなさ〜い!!」

「私、今生徒会長に一目惚れしちゃった」

…まじかい。琴ちゃんに限ってそんなことは絶対にないと思ってたけど、やっぱその意志をねじまげるぐらいのイケメンってことだよね。
「それってどんな人?」

「いるじゃない!ステージの前でみんなの様子うかがってる人!」

「この人かぁ…って、え?」
その瞬間自分が何故こう運が悪いのか呪いたくなった。
今朝無理矢理キスしてきた変態が、凛とした姿でステージに立っているのだから。