「――ひさしぶりだね…
 今日はどうしたの?」


動揺を隠しながら
看護師としての質問を行う


「お前…ここで働いてたんだ…」


他に話したい事があると言わんばかりに
上の空でそう呟く。


でも私は仕事中。
彼のほかに
診察を待っている患者さんがたくさんいる。
ここで昔話をしている場合じゃない。


鋭い眼が一瞬にして柔らかい表情になり
胸がざわついたけど必死に平静を装う…


「そう!看護師になれたからね…
 …で左腕。どうしたの?」


なにがあったのかはわからないが
左腕を庇っている様子から
怪我の場所だけはわかったので
もう一度尋ねてみた。



「あー…なんつーか…」


歯切れが悪い…
言いたくない事を聞くと必ず
彼はこういう言い方をする…


「なに?」