その名前の主が
どこに座っているかなんて
わざわざ返事を待たなくてもわかる――


栗色の髪に
人を寄せ付けない鋭い細い目

あの頃とかわらない
気だるげな座り方――


「なかやん…」


思わずつぶやいた懐かしいあだ名に
細い眼をめいっぱい大きく開き
こちらを見る…



「花咲…?」


声は聞こえないものの
口の形がそうつぶやいている…


「昔の男?」


耳元で囁かれた浜田さんの言葉に
はっと我に返る――


「そ…そんなことないですよ!!
 情報とってきます!!」


平静を保った(つもり)で
彼のもとへ駆け寄った――