不安そうな――でも一点の曇りもない
そのまっすぐな目に
なんと返すべきかわからず
目線が泳ぐ。



でも真剣な先生の気持ち…
茶化しちゃだめだよね。
ちゃんと答えなきゃ。


「あの…せんせ」
「花ちゃん」


強い口調で遮られ
言おうとした言葉が飛んでしまう。
そんな私に林先生は
にっこりと笑いかけ言葉を続ける。



「俺すぐに返事が欲しいわけじゃない…
 いつまでも花ちゃんを待つよ。
 ただこのまま黙ってたら
 元彼に持ってかれそうな気がして…
 ゴメン…
 花ちゃんが混乱するって
 わかってたのに。」


飼い主に叱られた犬のように
しゅん…とおとなしくなる先生。


「これからの俺を見てよ。
 それから返事してほしい。
 5年後でも10年後でも。
 もし花ちゃんが誰かと付き合っても
 俺は待ってるから。」