コウキ
「…ひ…陽菜先輩?!…」
ヒナ
『ねぇ…。
陽菜は…光輝の彼女だよね?
だったらさぁ〜
その“先輩”って言うの
辞めようよ♪』
光輝は陽菜の身体を離して
コウキ
「うん!
陽菜セ…陽菜は…
俺の彼女ぉ〜!」
包帯の巻いてある
両手を上げて叫び
陽菜を見つめる光輝の顔が
ゆっくりと近付いてきて
そっと目を閉じると
唇が触れた―――…
さっきとは違い
触れた唇から
暖かさを感じるキス…。
―――…あの時。
唯一守って奪われなかった
――――…ディープキス。
この時……
一番好きな人と出来た…。
お互い少し照れながら
少しの間、抱き合って
ヒナ
『今日はもぅ帰ろう。
光輝の体も心配だし…
今日は陽菜が光輝の事送るよ?』
コウキ
「何言ってんの?!
陽菜は俺の彼女なんだよ!俺が、ちゃんと家まで送るの♪」
そぅ言って
松葉杖で陽菜の家まで
ゆっくりと2人で歩いた。
ヒナ
『今日は本当にありがとう…
早く治してね♪』
コウキ
「陽菜に会って元気出たから
すぐ治るよ!じゃぁね♪」
ヒナ
『気を付けて帰ってね♪
家に着いたら
ちゃんと電話してよ…。
…………心配なんだから…』
慣れていない松葉杖を使いながら
帰って行く光輝の背中を
見えなくなるまで見送った。
普通だと15分で着く道のりを
“無事に着いた”
と電話があったのは
別れてから40分も後の事。
陽菜の前では
かなり無理をしていたんだろう。
こんな陽菜の為に…
ありがとう―――…