着いた先は駅からすぐの
かなり大きくて綺麗な
高層マンション。





エントランスで
マンションの住民らしき
おばサンとすれ違うが


おばサンは陽菜達に気付くと
一瞬合った目を反らし
そそくさと
その場から逃げるように
マンションから出て行った。





エントランスを抜け
エレベーターに乗ると
田村は目的地の階を押す。




―――…2F



―――…4F



―――…6F










――――…チ〜ン





8階で止まった
エレベーターを降りて廊下を歩き

一番遠いドアの前で足を止めると
ポケットから鍵を取り出し





―――…カチャ…





静かにドアを開けた―――…。










―――…シーン…





静まり返った部屋の中は
冷たい空気が漂い
誰も居ないのが解る。









腕は緩む事無く捕まれて居るまま
奥の部屋に連れて行かれ

やっと腕を離されると





ヒナ
『…………新井先輩…は?…』





腕を解放されて
自由になった陽菜は
その場に立ち尽くす。





タムラ
「後で来るから♪」





そう言って背を向けていた田村は
いきなり振り返り
陽菜の肩を強く掴んだ。