―――…待ち合わせは
田村の住んでる隣駅。
陽菜は田村の顔を知らない…。
待ち合わせ場所に着き
俯いたまま立っている。
「陽菜チャン?」
背後から声がして
声が聞こえた方を
恐る恐る振り返えると
そこには……
金髪で
耳にはピアスを一杯ぶら下げ
いかにも軽そうな
不良って感じの人が立っていた。
タムラ
「アイツが言ってた通り
可愛いじゃん♪」
そぅ言いながら
陽菜の腕を掴み歩き出す。
ヒナ
『……ちょ…ちょっと…
………何処行くんですか?!…』
聞きながら
繋がれた手を払いのけると
タムラ
「俺ん家♪」
不信な笑みを浮かべ
再び陽菜の腕を掴む。
ヒナ
『……な…何で?…
…困ります!』
さっきとは違い
振り払おうとしても
離れないように
しっかりと
捕まれてしまっている腕――…
タムラ
「新井も来るし♪」
引き摺られるように歩く
陽菜に振り返り
睨みながら言う
冷ややかな田村の目。
《新井先輩が来るなら
助けてくれるだろう…》
知っている名前が出た事で
少し安心し
田村の後を着いて行った。