― 拓真の部屋 ―
タクシ
「今日で陽菜も18才かぁ〜♪」
―――…コトン
拓真が
グラスをテーブルに置くと
―――…トンッ
グラスとは別に置かれた
箱の中身をスゥッと取り出した物…
ヒナ
『わぁ〜い♪
ケーキ買っといてくれたの?』
Happy Birthday
陽菜
文字が書かれた
プレートの乗っているケーキを
テーブルに乗り出して
子供のようにハシャグ陽菜に
―――…ポンポン
と頭を叩くと
タクシ
「当たり前じゃん♪
陽菜はケーキ大好きだから☆」
ヒナ
『うん♪去年の今は
京都で皆に祝って貰ったよね♪』
部屋に飾ってある
2人が映っている写真立てに
瞳を向けながら
タクシ
「そぅだよ♪あの時は
陽菜にプレゼント考えてて…
俺は物よりも
思い出あげたかったから
旅行にしたんだ♪」
ヒナ
『あの旅行は拓真が提案したの?
初めて知ったぁ〜♪』
タクシ
「場所を決めたのは
恵梨香だけどね☆
“京都の紅葉を
見せてあげたい”
って言い出して♪」
ヒナ
『そぅだったんだぁ♪』
――――…パチン
拓真は電気を消して
陽菜の後ろへ周り込んで座ると
―――…シュボッ
暗い部屋の中を明るくして
ユラユラと揺れる
火の付いたローソクを
ワクワクしながら吹き消すのを
楽しみに待つ陽菜に
―――…フワッ
と抱き締めながら