タクシ
「―――…そんな中

翼クンと純クンに出会ったんだ…。」










―――…ギュッ





拓真の手の上に乗せたハズだった
陽菜の手は

いつの間にか
拓真に握られていた手に
力がこもる。










タクシ
「荒れてた俺に
真剣に怒ってくれて…

他人の俺なんかの事を
本気で心配してくれて…



そんな人は初めてだったよ…。


―――…凄く嬉しかった。



大学では
アイツら以外出来なかった仲間も
〔dream〕では沢山、出来たし…



陽菜と出逢って

〈翼クンが好きだったこの娘は
違うかもしれない…。〉

って思った…。



今までの
金目当てだけの女じゃなく

〈俺の事を
本当に解ってくれる娘
なんじゃないか…〉

ってね…。





本当の友達も出来ない俺に
仲間を教えてくれたのも…

本気で女を好きになれない俺に
陽菜を会わせてくれたのも…

全部…


―――…翼クンのお陰だね…。」





ヒナ
『………。』





タクシ
「…………陽菜?」





ヒナ
『…やっと………やっと…
拓真から全部話してくれた…。

今まで一緒に居ても…
拓真は自分の事…
全然…話てくれなかったし…
凄く気になってた…。』





―――…ギュッ





泣くのを我慢しながら
握っていた手を強く握り返す。





タクシ
「………ごめんね…。」