ヒナ
『家の分も、ちゃんと
お土産買わないとね♪』





荷物の整理をしながら
何気なく言った言葉だった。





タクシ
「………。」





ヒナ
『………拓真…?』





《何で親の事になると

黙っちゃうんだろう…》







陽菜が
疑問に思ってた内の1つ…





でも

聞かないで居たのは





《人には

言いたくない事や

知られたく無い事も

あるんだ》





そぅ思っていたから……










黙ってしまった拓真を見て
話を変えようと





ヒナ
『ねぇ♪何か
お揃いの物…』










―――…ミシッ





タクシ
「―――…家ってさ…」





ソファーから立ち上がり
ベッドに腰を下ろすと
ゆっくりと話し始めた。





タクシ
「――…親父が…会社持ってて…

社長なんだ…。」





《…だから……金持ち…》







タクシ
「親父は仕事人間で
家にはほとんど居なかった…

だから小さい頃から
家族で食事とか旅行とか
した事なんて無くて…

母親は…
そんな生活が
耐えられなかったんだろぅな…。

俺が中学入る前に
離婚したんだ―――…



それからすぐに俺より
5コ下の子供がいた
今の母親と再婚……

最初の頃は母親も優しくて
弟は“お兄チャン”って
慕ってきたし

親父が居なくても3人で
出掛けたり外食したり…

楽しかったよ…。

―――…それが


俺が
中学受験を失敗してからかな?

全て変わったのは………」