タクシ
「………まだ…
〈1人で
辛い思いしてんだろうな〉
って思った…」





ポツリと呟いた言葉に
胸がチクリと痛くなる。





ヒナ
『………。』










―――…ギュッ





タクシ
「………あの時は…
…陽菜の事…

……こうしてあげたかったよ…」





ヒナ
『……………でも…

…今は…拓真が…居てくれる…』





抱き締めてくれた拓真の背中に
腕を回すと





タクシ
「今だけじゃなく
これからも、ずっとね…」















今までは





可哀想なんて
思われたくなくて


同情なんて
いらなくて





《1人で大丈夫》
なんて強がってたけど

結局1人じゃ
翼にも逢いに行けなくて…





ナンパで男遊びを繰り返し
ただ気を紛らわせる事で
逃げる事しか出来なくて…










そんな陽菜を
好きだと言ってくれた



そんな拓真を
大好きになった



もっと好きになって貰いたくて
素直になれた










拓真と
出逢わせてくれた翼…










そぅ思えば
辛くなんて無い










翼の代わりに
陽菜を守ってくれる…



翼と同じように
陽菜を大切にしてくれる…










隣に
拓真が居てくれるから…





もぅ
辛くなんて無い