拓真は
陽菜の知らない
翼を知ってる。





そんな翼の事を
一杯話してくれた…。





最初は……



拓真の前で
翼の写真なんて見たら悪い…



見たら
自分が辛くなるだけ…





そんな事を思ってた。





でも……



不思議と拓真とは

翼の事…



笑って話せるんだよ。










何度も
夢に出てきて


何度も
翼の名前を呼んで















神様…

どうかもう一度だけ

もう一度だけで良いから
翼に逢わせて下さい…













そぅ
何度もお願いした





翼の事を忘れた日は
1日も無くて










逢いたい



逢いたいよ―――…










心の中で
ずっと叫び続けてた…










月日は流れてゆくのに
陽菜の時間だけは
あの頃のまま
動かずに止まってしまってた。



逢わせてくれない神様を
恨んだりもした。



寝てから目覚めた時
夢であって欲しいと
何度も願った。










そんな陽菜が…



今は
笑って話してる…。





思い出しても
《辛い》
って気持ちがないんだ…。



それは……



相手が拓真だから…










《忘れよう》



《忘れなきゃ》







って苦しんでた陽菜に










“忘れなくて良いんだよ”



“忘れる事なんてないんだよ”








って言ってくれた拓真…










真っ暗闇を1人彷徨って

もがいていた陽菜を



救い出してくれた拓真…





その手は
暖かくて優しくて…



とても大きな手だった