ヒナ
『………ハァ…ハァ…』





《拓真が………

―――…何で病院なんか…》








ヒナ
『……ハァ…病院の場所…ハァ…
…聞くの…ハァ…忘れた……』





何処を
どう走ったのか解らないまま
フッと気付くと

何処の病院かも聞かず
飛び出してた事に気付いて
公衆電話を探し

ポケベルの履歴で
さっきの番号に電話を掛け





病院の場所を尋ねると

大通りでタクシーを拾い
真夜中の道を病院まで向かった。





―――――……





……―――――










――――…ウィーン





着いた夜間救急病院に人影は無く
静まり返る薄暗い廊下を
青白い電球だけが
ぼんやりと点いている中

一目散に待合室へ向かうと

俯いたまま座っている
築サンと颯太サンの姿が見える。










キズク
「陽菜チャン!!」





――――…タッタッタッ…





ヒナ
『…ハァ…ハァ……た…拓真は?…』





築サンの
両腕を掴みながら叫ぶ陽菜に





ハヤタ
「…………こっち…」





颯太サンに連れられ
病室の前まで行くと





ハヤタ
「…俺達は…
………待合室に居るから…」





――――…コクリ…





と頷いて
ゆっくりとドアを開けた。