そんな事があって
気になってはいたものの

あれから〔dream〕で
男を見掛ける事も無く
安心していた時…





テーブルを囲んで
皆でワイワイ騒いでいると











「よう♪拓真!どぅした?
そんな恐い顔して♪」





誰かが言う声に振り向くと
拓真の足は真っ直ぐに
陽菜へと向かって来る。





タクシ
「陽菜!
ちょっと話あるから
一緒に来て!」





―――…ガタンッ!





座っていた陽菜の腕を強引に取り
無理矢理引っ張って立たせる。





ヒナ
『………ちょっ…ちょっと…
拓真…痛いよ…。』





聞こえていないのか
力を緩める事なく
非常口まで連れて来られた。





陽菜の事を壁際に立たせると
拓真は
陽菜の頭の辺りに両手を付いて
向き合う態勢になる。





タクシ
「―――…陽菜…

時々しか顔を出さない
スーツ着て来る男…

…………知ってるよなぁ?」





《…ヤバイ…まさか……》







目の前に居る拓真から
目線を反らして返事もしないで
黙り込む陽菜に苛立ったのか





タクシ
「陽菜!!」





半分、怒鳴ったような
拓真の声が非常口に響いて





―――…コクリ…





陽菜が小さく頷くと










タクシ
「―――…そいつと…

…………………やった?」





ヒナ
『…………。』










―――…グイッ!










ヒナ
『――――…痛っ…』





拓真は
陽菜の左腕を引っ張り





タクシ
「…………良かった…。

……………打たれてねぇな…」