―――…ストン…





その人は
俯いて座ってる陽菜のベンチ横に
ゆっくりと座り





「―――…陽菜。
久し振り…」





そっと
声を掛けてくる。





ヒナ
『………。』





「………全然…
連絡しても返事くれないから…
心配してたんだ……

―――…だから今日…

会えるように
颯太に頼んだんだけど……」





陽菜が避けていたから
颯太サンに話して
会えるように頼んだのだと
気付いた。










―――…ガタンッ





ヒナ
『―――…陽菜は別に…
拓真と話す事も無いから…

用事がそれだけなら帰る…。』





―――…ガシッ…





ベンチを立ち上がって
歩き出そうとした
陽菜の腕を掴んで





タクシ
「待ってよ!!」





―――…パシッ!





捕まれた腕を振り払い
振り向いて
拓真を睨みつけた陽菜は










ヒナ
『何?!何なの?
陽菜が〈可哀想な娘〉だから
心配な訳?!』





タクシ
「…そんなんじゃ………」















ヒナ
『じゃぁ何よ!
翼の事…黙ってたクセして…。



どうせ拓真だって皆と同じで
〈可哀想な娘〉って
同情してんでしょ?!

優しくしてくれてたんでしょ?!





陽菜は
〈可哀想な娘〉
なんかじゃない!



純クンだって…
拓真と同じだったよ!

そんなの良い迷惑なの!

関係ないんだから心配なんて
して貰わなくたって良い!

そんな同情でなんかで
陽菜が死んだって
本当に悲しんでくれる人なんて
居ないんだから!』