「何キョロキョロしてんの?
純なら来ないよ…。」





辺りを
見渡している陽菜の背中から
聞き覚えのある声が聞こえ
首だけを振り向かせると





ヒナ
『………哲サン…』





テツ
「良く来てくれたね♪
嬉しいよ♪」





自分の座っている席の隣席を
ポンポンと叩いて陽菜を座らせ





テツ
「―――…でも
純は来れないんだって…

凄く来たがってたんだけどね♪」





―――…カラカラ…





お酒の入ったグラスの氷を
指で遊びながら
隣に座った陽菜に話し掛ける。





ヒナ
『……そぅ……なんだ…。』





哲サンの言葉に俯くと





テツ
「今朝から仕事で
地方まで行っちゃって…。

だから昨日、来てたんだ♪
陽菜チャンにも
会いたかったみたい…。



―――…それで昨日





“もし…

陽菜チャンが来たら渡して欲しい”





って頼まれて預かったんだ…

――――…コレ。」