頭の中が
おかしくなりそうで
《何で?!…》
《うそ?!…》
って言葉だけが
頭でリピートしていて…
抱き締められている純クンの胸を
叩きながら
ヒナ
『…何でよ?!…何で翼なの?!…
…ねぇ!…返してよ!
…お願いだから…
…陽菜に…
…翼…返してよぉ〜〜!!』
テツ
「…陽菜チャン…
…純も…辛いんだ…。
…………ココに居る皆だって…」
哲サンに手伝って貰いながら
陽菜が座り直すと
純クンは
ポケットから取り出した物を
テーブルの上に置く。
―――…コトン…
翼の…
― ポケベル ―
ジュン
「―――…コレ…
…事故で無くなっちゃってて…
…俺達…誰も…
…陽菜チャンの連絡先…
…………知らなかったから…」
純クンが言葉を詰まらすと
哲サンが代わりに
テツ
「―――…純は…
…ずっと
探してたんだよ…。
…陽菜チャンと翼を…
会わせる為に―――…
…ずっと…ずっと…
…さっきまで探してたんだ…。」
ジュン
「…陽菜チャン―――…
―――…最後…
翼に
会わせてあげられなくて
…………ごめんね……」
疼くまったまま
膝の上にあった
血の滲み出ている両手を
震えながら握り締めていた純クンも
声を出して泣いた―――…