ヒナ
『―――…ぃ…ぃ…ゃ…

…嫌ぁ〜〜〜!!…』






―――ガシャガシャーン!!





――――パリーンッ!!





大声で泣き叫び

テーブルの上にあった
グラスや灰皿を滑り落とすと



陽菜の心中のように
大きな音を立てて崩れ



店中に響き渡った―――…















―――…フラフラ…










ヒナ
『……翼はドコ?
……ねぇ…翼は………ドコ?』





フラフラと立ち上がり
店内を歩き出そうとすると





―――…ガシッ





テツ
「…陽菜チャン…しっかりして!」





――――…パシッ





哲サンに掴まれた腕を
振り払い





ヒナ
『“ずっと傍に居てやる”
って言ったの!

“ずっと守ってやる”
って言ったの!



翼が……

翼が…言ったの………』





―――…ギュッ!!





ジュン
「………陽菜チャン…
…翼は…居ないんだ…

もぅ…翼は…居ないんだよ…」





泣き喚く陽菜を
抱き締めながら止める純クンに





ヒナ
『…………陽菜も行く…

…陽菜も…
…翼の所に連れてってよ…』





拾い上げたガラスの破片を
自分の首筋に当てる陽菜に





ジュン
「………陽菜チャン…」















―――ポタ…ポタ…





陽菜の手から取り上げられた
ガラスの破片は
純クンの手の中で赤く染まり
床の上に滴となって落ちた。





“キャァー!血が流れてる!”



“誰か救急箱、持って来て!”





テツ
「……純…」





ジュン
「……もぅ…居ないんだ…

翼は…居ない…んだよ……」





自分に言い聞かせる様に純クンは
何度も何度も繰り返した。