ツバサ
「―――…あの時…

もっと早く帰っていれば…



―――…あの時…

もっと早く見付けてやれれば…」







苦しそうに
自分の頭を抱える翼を
陽菜はゆっくりと抱き締め





ヒナ
『―――…翼…ありがとう…

陽菜は平気だよ…。


あんな事あったけど





そんなに弱くないから…


絶対に
死んだりしないから…





ねぇ…だから…………



――――…翼がそんなに





苦しまないでよ―――…』








陽菜の目から溢れ出す涙を
拭いながら
今度は翼が抱き締めて








ツバサ
「…ありがとな…
…………俺…

心配だったんだよ?


―――…あの後から…

荒れ始めただろ?…



売春…シンナー…


解ってたけど
俺には止められなかった…。





ただ……





俺と一緒の時は
〈してない〉
って解るから―――…



一緒に居る事しか出来なかった…



俺にはそれしか…





してやれなかったんだ―――…」








一段と強く抱き締められながらも
翼の大きな手が
そっと陽菜の髪を撫でた。













翼の胸が

凄く暖かくて…





髪を撫でてくれた

大きな手が優しくて…








凄く
居心地が良かったんだ―――…










翼の事を
好きなのかなんて解らない。





だけど………










【今】

一番大切で…


傍に居たい。



そぅ思う人だった―――…