― 海 ―





―――…ザザーン…





真っ暗で誰も居ない





―――… 静かな海。





夜空の星だけで
綺麗に光って見える海を見て





ヒナ
『………うゎぁ〜…綺麗…』





独り言のように
小さく呟く陽菜に





ツバサ
「もっと近くに行くか♪」





手を差し出した翼…。










〔patio〕以外
2人だけで外に来たのは
初めてで…



外でも
手を繋いでくれるとは
思わなくて…










戸惑っている陽菜を見ると





ツバサ
「ほら!陽菜おいで♪」





そっと陽菜の手を取り
引っ張って歩き出した。















砂浜に下りて2人で腰掛けると
翼は、そのまま寝転がり
夜空の星を見て





ツバサ
「…マジ……綺麗だな…。」





子供のような
あどけない笑顔で言った
翼の顔…。





そんな



無邪気な顔…





初めて見たよ―――…















――――――…ザザーン……





―――――…ザザーン…










静かな暗闇の中…

波の音だけが響き



隣で寝転んでいる翼と
繋がれた手からは
暖かい温もりを感じる…。









ヒナ
『―――…あの時。




《いくら助けを求めても
誰も来てくれる事は無い》





って思ってたんだ…。
だから…
――…抵抗もしなかった。



でも…



翼は来てくれたよね――…


―――…凄く…嬉しかったよ…。





…翼………


いつも隣に居てくれて…

―――――ありがと…』