やっと俺の方を向いたと思ったら、憐はまた崎本の方を向いた。


「え、あの…隼人も、どうしたの?」


憐の右手は、俺が握ってる。


んじゃ、左手は…?


憐の左手は、崎本の手と繋がっていた。



やっぱ邪魔だ。

崎本。


「な、崎本。
勝負しねえ?」


俺は、崎本に向かってそう言った。


「勝負?」


「あぁ。
…あの射撃で、勝った方が憐と二人で屋台をまわるって、ど?」


「えぇ!?
何言ってんの、蓮?」


オロオロしてる、憐。

もっとオロオロしてろ、鈍感。


「良いよ。
勝負しよう。」


崎本は、勝負を引き受けた。


「隼人まで…なんで?
皆でまわろうよ!」


それじゃ意味ねえんだよ、憐。


「憐は黙って見てて?
俺勝つから。」


崎本は憐にそう言った。

ふんっ。

言っとけ。

勝つのは俺だ。



「憐。
見とけよ。
絶対惚れるから。」


俺は、そう言って、射撃屋のおっちゃんに金を払った。