俺は母さんに自分が男だって言った事はない。言えるわけもない。母さんは女の子が欲しかったって言ってたし、病弱な体に障ったらと思うと言えるわけがなかった。言いたくなかった。自分がデキソコナイを産んだなんて思わせたくなかった。だから俺は母さんの前では……女になるんだ。
「……い、いるよ!?」
俺は動揺したっ。だって普通の女の子はこの年頃って……あんなことやこんなこと経験あるもんだろ?確か昔みた親父の部屋にあったビデオにはっ!!!!!けどいえない、いくらあれが普通たって母さんにあんな、そんなをっ……!!!いえない!!いえるわけがない!!!
……よし決めた!俺は遅れてる女子って事でキス止まりで、けっ健全なお付き合いをしてるって事で!!!
「片思い?それともつきあってるの?」
「つ、付き合ってます!!!」
俺は生唾を飲み込んで母さんに言い放った。背中に冷たい汗が流れた。一応、嘘じゃない。蜷川と……うわぁ!!!泣きたい!!!!何が哀しくて仮でも初の恋人が男なんだ。俺だって男だし、あんなことやこんなこと……したいよ!?けど、決してやってもらう方になりたいわけじゃないんだよ!!?
けど!!母さんは、本当はもう後がないんだってことも分かってるんだ。嘘でもいい、安心させたい。ちょっとでも幸せでいて欲しいんだ。