俺はか弱く寂しい人間だと思う。なぜなら俺は人には言えない秘密を抱えているからだ。秘密って重くて辛い物だ。秘密があるってだけで本当の自分を友達にも家族にも誰にも、さらけ出せないで嘘をつき続けるって事だから。
だからいっそのこと大声で言いたい。本当はいってやりたい。
本当は、本当は、俺は……。
「俺は！」
思わず席を立って叫んでいた。クラスの奴らは呆然と俺を見上げて先生さえ鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてる。
あれ？今……もしかして……もしかすると。
周りは目を白黒させながら、俺をじっと見ている。先生も一瞬黙ったが、気がついたようにぎこちなく喋り出すとこう言った。
「そ、そういえば蓮見さんの隣が空いていましたね！　じゃ、じゃあ蜷川君、蓮見さんの隣に座ってくれるかな？　」
場を仕切りなおすように先生がいうと隣にいる金髪で青い目をしたまるでフランス人形のような少年がクスっと小さく笑って俺を見た。
ああ、そうか、うん……分かったよ、今は……授業中だ！！