響子先輩は一瞬驚いた表情をみせたが
すぐにいつもの笑顔に戻り
こう言った。

「サックスいいよね!
私の担当楽器もサックスだから…」

「へっ?!そうなんですかっ?!」

やばっ…声裏返った…。

「あはっ
驚かしちゃってごめんねっこの音の正体も知りたいから
早速、サックスパート行きますかっ!!」

「はっはい!
よっ宜しくお願いしますっ」

……とゆーか、どこの誰なんだ…
このサックスを奏でてるのは…

いまだにあの音は鳴り響いていた。





ガラガラガラガラ
バンッ!

「ここがサックスパートでーす!!」

響子先輩がそう言うと、
なかにいた4人の内3人が一斉に振り向いた。

多分真ん中でサックスを持っている人が、
あの音のー…あの…音の……ぁ

「ああああっ!」

私はつい驚きのあまり、指を指して叫んでしまった。
ー……そう、あの体育館で出会った例の男子。

サラっと綺麗な黒髪をなびかせながら
例の男子はふっと笑ってこう言った。

「入学式早々怒られてた
可哀相な人じゃないすか」


はー…い?!