「妹さんは、今どうしてるの?」
さっきまで、黙っていた夢果が口を開いた。
「海外にいる。俺の親父さ、海外で仕事してんだ。妹は、向こうで勉強したいって前から言ってたから、親父についていった。俺と母さんだけ、日本に残ったんだ。妹や親父とは、時々連絡をとってる」
慶斗は言った。





「慶斗はつらかったんだね。ずっと一人で抱え込んでたんだね」
夢果はまた泣き出した。俺は夢果の頭を撫でた。





慶斗はずっと一人で苦しんでた。





なのにいつも明るくて。





友達思いで。






妹もきっと、そんな慶斗が好きだったんだと思う。






妹を妹としてではなく、一人の女として愛してしまった慶斗。





その苦しさも、悲しさも、切なさも慶斗にしか分からない。