「付き合ってください!!」
「・・・ごめんなさい。
好きな人いるから。」
うわー朝から生々しいなぁ。
中学2年の最終日。
つまり終業式の日。
私、日向亜沙美は授業や部活以外ではめったと人が来ない音楽室にいた。
私の学校では音楽室は校舎の外にある別棟にあるのだ。
終業式ということは3年生は卒業式だ。
そこで私たち吹奏楽部は卒業式の入場、退場などの時に演奏をする。
けれど、楽譜を音楽室に忘れたわたしは
朝から人がいない音楽室に来ていた。
そこでこんな告白を聞いちゃったってわけ。
あと一瞬早かったらドアを開けて中に入ってたな。
危ない危ない・・・。
でも、どうしよう。
早く楽譜を取って練習したいけど、今入ったら聞いてた事がばれちゃう。
ドアの前で考えていると
「じゃあ、これからも友達でいようね。
もう行くから、またね。」
って声が聞こえた。
やばい!!
はやく隠れなきゃ。
急いで別棟の2階へ行く。
しばらくすると別棟の錆びた重いドアが閉じる音がした。
1人溜息をついて音楽室に行きドアを開けると
まだ告白した人らしき男子がしょぼーんと座り込んでいた。