ゴクリ、と音が聞こえそうなくらい大げさに嚥下し、森山は訊ねた。息苦しいのか、ネクタイを弛めながらハンカチで額の汗を拭う。

「私は誠意を見せて下さいと申し上げただけです。これが課長の誠意ですか?」

「だ、でも、君はお金に困っていると言っていたじゃないか!」

「ええ、困っています」

「だったら……!」

「誠意を見せていただけますね?」

 美知子はにっこりと笑った。口元だけで。瞳は鋭さを携えたまま森山を見つめ続けている。