新しいネイルをしなければ。今度は何がいいだろうか。 

「大丈夫、ありがとう」

 そう答えて顔を上げると、ブランド物のポーチに目が留まった。鏡に向かって化粧直しをしているゆかりの物だ。一方、美知子が持っているポーチは安物のノーブランドだった。見掛けは可愛らしいが、造りは安物のそれである。

 里沙も当然の如くブランド物のポーチを持っていた筈だ。美知子は急に惨めな気分になり、そっと持っていたポーチを自分の後ろへと隠した。鏡の前では、ブランドを主張するモチーフが光り輝いていた。