翌日から、美知子は二人をじっくりと観察した。何か怪しい動きはないか。二人だけの特別なサインなどはないか。だがしかし、特に目立った点は見受けられない。

「はあ……」

 美知子はトイレでひとり、溜め息を吐いた。鏡に映る自分の姿を見ると、目の下にほんのりと隈が出来ている。最近、里沙のことばかり考えてあまり眠れなかったせいだろうか。

「あら、美知子。どうしたの? 疲れてるみたい」

 津嶋ゆかりは入って来るなり、美知子の顔を覗き込みながら言った。確かに酷い顔である。美知子は再度自分で鏡の中の顔を確認し、改めて認識した。これでは綺麗になった意味がない。笑顔の似合う女性になった意味がない。