だったら、こっちが強気に出てやるのだ。そうする事で、美知子は課長の弱味を握った事になる。先程の様子から見ても、彼女が優位にある事は間違い無かった。

　自然と笑みが溢れる。人の弱味を握るのが、こんなにも快感だったなんて。

「美知子、ご機嫌じゃない。あ、もしかして課長と上手くいったの？」

　里沙が楽し気に話しかけて来た。そうだ、里沙の弱味も何か握れないだろうか。

「ええ、まあね」

　美知子は笑顔で返した。今の所、里沙は達也に好意を寄せているという事しか知らない。果たしてそれは弱味になるのだろうか。いや、それだけでは弱味にはならないだろう。

　何かないものかと思案した。絶対に、横山里沙の弱みを探し出してやる。