意味が解りかねず、何とも間の抜けた声を出してしまった。

「ま、今夜空けておいてくれたまえ」

「はぁ……」

 美知子は生返事を返すしかなかった。食事を一緒にと言う事だろうか。仕事の話をしながら?

 多少、疑問が頭をもたげつつも、仕事では致し方無い。

「やったじゃない、美知子」

「えっ?」

「あの課長、三十代でまだ独身よ。それなりに貯金もあるらしいし、親の遺産も相当なものみたい。もしかしたら玉の輿? うわぁ、良いなぁ」

 里沙は大袈裟とも思える憧れの視線を投げて寄越した。

「結婚式には呼んでね」

 何とも気が早い。美知子は呆れつつも曖昧に笑顔で誤魔化した。