会社で優越感に浸る事が出来るなんて、今までになかった事だった。今までなら『お茶』と無愛想に言うだけでこちらを見向きもしなかった課長が、『中島君、お茶淹れてくれるかな』などと美知子の目を見て言うようになったのだ。彼女は内心毒づきながらも、勿論満面の笑みでその申し出を受ける。
どうぞ、と差し出すと、『ありがとう』と言う言葉が返って来て、美知子は驚愕した。普段ならそんな事は絶対に言わない、頑固で昔ながらの男尊女卑者。『女は黙って男に従ってろ』が口癖で、お礼なんて言われた事などなかったのに。
これもネイルのお陰だろうか、などと思っていると、課長がにやりとイヤらしい目付きを此方に向けた。ゾクリと嫌悪感が背中を走る。
「中島君」
「はい」
「今夜空いているかね? 打ち合わせをしたいんだが」
一体何の打ち合わせだと言うのだろうか。美知子の仕事は殆んど社内での事務仕事。打ち合わせが必要になる仕事などではないのだ。
「……は?」
どうぞ、と差し出すと、『ありがとう』と言う言葉が返って来て、美知子は驚愕した。普段ならそんな事は絶対に言わない、頑固で昔ながらの男尊女卑者。『女は黙って男に従ってろ』が口癖で、お礼なんて言われた事などなかったのに。
これもネイルのお陰だろうか、などと思っていると、課長がにやりとイヤらしい目付きを此方に向けた。ゾクリと嫌悪感が背中を走る。
「中島君」
「はい」
「今夜空いているかね? 打ち合わせをしたいんだが」
一体何の打ち合わせだと言うのだろうか。美知子の仕事は殆んど社内での事務仕事。打ち合わせが必要になる仕事などではないのだ。
「……は?」